これは、闇で蠢く人々が綴った、とある日の出来事である。




   日向ヒナタという人は




 さて、お集まりの皆様こんにちは。
 今日はようこそいらっしゃいました。
 は?私が誰かと?…闇の住人とでもいっておきましょうか。

 では、本日は我らが至上の人の1人『日向ヒナタ』様について、お話しましょう。

 まずは世間一般の評価について。
 日向の長女であるが、父ヒアシからは見放され、日向の次代は妹のハナビが後を継ぐといわれている。
 性格的におどおどとした印象を与える少女は、いつも目線を伏せ、常に人の顔色をうかがっているが、その心根はとてもやさしい。
 だが、そんな少女が見せた中忍選抜試験での『ネジVSヒナタ』戦を忘れてはならない。
 日向を恨むネジからの圧倒的なプレッシャーと冷たい言葉を跳ね除け、己の忍道を貫いたその姿は見ていた観客一同に多大な勇気をもたらした。

 以上が、大多数が語る『日向ヒナタ』の姿である。
 だがしかし!
 光のあるところには必ず闇が存在する。
 今回はその裏の部分について、少女を良く知る方達にお話を聞いてみました。

 まずは第一バッター。『日向ヒナタ』を形成するにあたり多大な影響を及ぼしたとされる、さわやかな笑顔が人気のアカデミー教師だが、我々からすればその笑顔が恐怖だ回れ右のこの方に聞いてみました。

「…何故か一部釈然としないものもあるが…ああ、別に何かする気はないからそんなすぐにでも逃げ出すぞ態勢はしなくてもいい。まあ、無駄だと思うけど。…ヒナタについてか?そうだな、やっぱり最高傑作だな。ヒナタとナルトと俺がいれば世界征服も夢じゃないと思うぐらいにな(爽やかすぎる笑顔)」

 だからその本気で出来そうなことをその笑顔でいうのが怖いんですってば――――――!!!(ダッシュで逃走)
 ……し、失礼致しました。それでは続けます。

 ええと、次はやっぱりこのお方。ヒナタ様の最高のパートナーである、表のドベッぷりに騙されまくっている人達が思わず可哀相になるくらい実は裏表がありまくって素敵な(は?)この方です!

「あ〜どうも?いや裏表あるのはわかっててやってるから別に良いけどさ。ヒナタについてだっけ?そうだな、もうこれ以上ないくらい運命の人だな。だってこれほど俺と同じような思考回路で以心伝心なやつ他にいないだろ?いつか二人で世界の頂点に立つ日が目に見えるぐらいだな(瞳がきらきら)」

 ありがとうございます!さすが素晴らしいです(うっとり)。←何かが危ない
 やはりお二人は最高のパートナーです(さらにうっとり)。←だから以下略

 ああ、続けましょう(我に返った)。

 はい、では次です。
 世間一般ではクールさが売りの「悲劇の末裔君」だがしかし、我々からすれば鼻で笑っちゃうぐらい可笑しい「喜劇の末裔君」である彼に聞いてみました。

「・・悪かったな喜劇で(否定する気ゼロ)。っていうかこれ本当に匿名だろうな?…ヒナタは、地獄の女神だ。アカデミーで表仕様のヒナタを見たときなんざ本当にある意味心のそこから意識が遠のいたな…(めちゃくちゃ遠い目)。俺の人生…きっとこれからもあいつらに振りまわされ、三途の川の手前まで連れてかれるんだろうなぁ………………」

 ご愁傷様ですと言っておきましょうか。
 なにやら本人かなり遠い星の彼方までいってしまったようなので次に行きたいとおもいます。

 めんどくせーが口癖の割には最近めっきり聞かなくなったような気がしなくもないが、退屈だったばかりに目をつけられ頭が良いくせに問答無用で上の人と一緒に苦労人人生を送っているこの人です。ではどうぞ!

「って、バレバレじゃねーかこれ!!あ?気にするな!?は?(何やら見てみると質問者の後ろに笑顔の某アカデミー教師の姿が)…うう。何処で間違った俺の人生(←たぶん最初からだ)。ヒナタは…ああ、いろんな意味でインパクトが大だった。そりゃあもうナルトとヒナタ、あんなに性格違うやつなんざ生まれてこの方初めてだったよ!……・・だから間違ったんだ俺。サスケ、俺達このあと生きてると思うか…・・?(何かを諦めたような遠い目)」

 あ、ご協力ありがとうございました(後ろの笑顔の人に向けて斜め45度で丁寧に頭を下げる)。
 前の人同様、かなり遠くにいってしまった、何処か悟りまくった人を置いて次にいってみたいと思います。

 はい、次は『喜劇の末裔君』の兄であるこのお方!ちょっぴりズレにズレまくった愛情表現がとってもデンジャラスなこの人です。

「……ズレてるのか?(物凄く不思議そう)まあ、いいか(いいのか!?)。ヒナタのことか、彼女にはとても世話になっている。任務のせいでなかなかサスケを構ってやれない上に、修行もつけてやれないし。…全てかわりにしてくれている。……本当に感謝している。そうだ今度土産に欲しがっていた謎のタネを持っていく」

 …………謎のタネってなんですか?
 いえ、やっぱりいいです(どうせ犠牲になるのは決まってるし)←酷っ!!
 あぁ!でもやっぱりヒナタ様は感謝されるお方なんですね!!

 では、最後はこの方。
 里を守るのが使命だったわりには随分と「それでいいのか?」というような言動と行動をとった、現在呑気に心のそこから人生謳歌中の元最高権力者です。

 「随分な言われようじゃわい(でも笑顔)。そうじゃな、ヒナタには感謝しとる。まあ、ヒナタの性格は母君を知っておったから納得できるというものじゃが、…ナルトを支えてくれているようで、本当に感謝しとる。あとは二人仲良く、里の頂点に立つその日まで長く生きていたいものじゃ」

 はい、我々もそれを楽しみにしています(孫を見守るような穏かな笑みに思わず涙ぐむ)、今回はこのような突然のお願いを聞いていただき本当にありがとうございました。

 以上が今回の報告になります。
 このほかにも「まさに女神だ!」「アレほどに慈悲深い人はいない」「………母親に良く似すぎるぐらい似ている」「料理上手だ」「………世話になった」「…・頼む、その話題は出さないでくれ!」
 などなど、なにやら途中かなり不思議な会話がなくもなかったような気もしますがそれは置いておいて、本当にたくさんのお話を聞くことが出来ました。

 今回、『日向ヒナタ』様の知られざる魅力はたっぷりとご紹介できたと思います。
 以上の内容は後ほど報告書として配布したいと思います。

 それでは皆様。
 第1回『噂のあの人の知られざる魅力発見』にご協力頂き、本当にありがとうございました。




「…………なに、これ?」
「ああ、この間のか」
「この間?」
「なんかインタビューされたんだけどほら、あの暗部の集団あるだろ?」
「『至宝なる二人を崇拝しよう同盟』とかいう人達?」
「そうそう、んで答えてきた。まあ、どれだかわかるだろうけど?」
「うん、私も運命の人だと思うよ。いつか頂点に立とうね♪」
「おう、もっちろん♪」
 和やかすぎるほど和やかに笑いながら、そういえばとヒナタは言う。
「やっぱ、これはちゃんとお返ししとかないといけないよね?」
「んー?暗部のやつらはお菓子の差し入れでもしとけば泣いて喜んで狂喜乱舞すると思うぜ」

 ………そんな暗部もどうかと思う。

「そうだね。あ、ナルト君、休み欲しくない?1週間くらい」
「ああ、すっげー欲しい。イルカ先生も欲しいと思うぞ」
「うんだからさ、この『喜劇の末裔君』と『めんどくせーが口癖』の二人にさ。私とナルト君とイルカ先生の1週間分の任務を上乗せしてプレゼントしようと思うんだけど、どうかな?」
「すっげー泣いて喜ぶと思うぜ」

「「……。……」」

 超・デンジャラスな笑みを浮かべて会話を続ける二人を他所に、実は最初からいた『喜劇の末裔君』と『めんどくせーが口癖』の二人。
 まあ、この二人が誰かなんていまさら言うまでもないことだが、確かに泣きながらそのプレゼントを受け取らされたらしい。
  ――――――――喜んだかどうかは果てしなく横に置きまくって。








    『絵本の向こう側』ひまり